政府は12月18日、児童虐待防止のために児童相談所(児相)と市町村の体制を強化する新プランを決定しました。
NHKニュースなど報道各社が伝えました。
今回決定された新プラン(児童虐待防止対策体制総合強化プラン)は、児童相談所や市町村の体制・専門性の強化を2019年度~2022年度の4年間で進めるとし、具体的な人員配置などの目標を掲げています。
政府の「新プラン」が掲げる人員体制強化
児童相談所の人員配置
(うちSV※1 620人)
(うちSV※1 920人)
(うちSV※1 +300人)
(2024年度までに2,500人)
(2020年度までに)
市町村の体制
児童相談所の体制強化
児相の専門職の人員配置について、子どもや保護者への指導や里親支援などに当たる児童福祉司は2017年度から2022年度の間に2,020人増員して5,260人に、児童心理司は同じく790人増員して2,150人に、保健師は2020年度までに70人増員して210人にする目標を掲げています。
特に児童福祉司については、1人当たりの業務量が虐待以外の事案も含めて40~50ケース相当となるよう、各児相の管轄人口を見直すとしています。
また、児童福祉司のうち、他の児童福祉司の指導・教育を行うスーパーバイザーも増員するとしています。
さらに、里親の支援や市町村の相談等の支援を強化するため、新たに里親への支援を専門とする児童福祉司や市町村支援を専門とする児童福祉司を配置するとしています。
児相が受理する虐待相談件数は増加が続いており、虐待以外の業務に十分手が回らなくなっているとの指摘があります。今回の見直しで、里親支援などを含めた児相の体制を強化するねらいがあります。
なお、児相の弁護士の配置については、社会保障審議会のワーキンググループが別途議論をしており[3]、今回の新プランに具体的目標は盛り込まれませんでした。
市町村の児童虐待防止体制の強化
一方、区市町村の児童虐待防止対策を強化すべく、「子ども家庭総合支援拠点」と「要保護児童対策地域協議会調整機関」の担当職員を全市町村に置くとしています。
「子ども家庭総合支援拠点」とは、区市町村に住むすべての子ども、子育て世帯と妊婦を対象に、子育ての悩み相談や、虐待の情報収集、児相・医療機関等との連絡調整などを担う拠点のことです[4]。
市町村と東京23区では、2016年の児童福祉法改正の際に設置が努力義務となり、「子ども家庭支援センター」などの名称で整備されています。
しかし、2018年2月時点で設置していたのは106市町村 114カ所に留まっています。
「要保護児童対策地域協議会」(要対協)は、地域の児童福祉、医療、教育、警察などの関係機関で連携して児童虐待防止などに取り組むための協議会です[5]。
市町村の児童福祉担当部局が「調整機関」となって各機関の間の連絡調整を担うことが想定されていますが、そのための担当職員を配置できている市町村は2018年2月時点で6割に満たなかったということです。
政府は、これらの拠点・担当者を2022年度までに全市町村が設置するよう、国の支援を拡充するということです。
新プラン決定の経緯
2018年3月に東京都目黒区で起きた女児虐待死事件を受け、政府は6月に子ども虐待の緊急対策を決定しており、その中に「児童虐待防止対策体制総合強化プラン」(新プラン)を年内に策定することが盛り込まれていました。
今回、児童虐待防止対策に関する関係府省庁連絡会議で、新プランが正式に決定しました。
社会で子育てドットコム編集部
「社会で子育てドットコム」編集部では、虐待や経済的事情などの理由により親と暮らせない子どもたちを中心に、児童福祉についてニュース紹介や記事の執筆をしています。NPO法人ライツオン・チルドレンが運営しています(寄付はこちらから→ https://lightson-children.com/support/#donation )。
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