「社会で子育て」へ向けて 2020年4月から始まる取り組み、変わる制度

2020年4月から、「社会で子育て」に関連して、制度の変更などいろいろな動きがあります。

親による体罰の禁止

2020年4月から、保護者による体罰が禁止されます[1a]。


厚生労働省が作成した「体罰等によらない子育てのために」リーフレット。/ 厚生労働省ホームページより[1a]

厚生労働省が示した指針では、しつけを目的とするかどうかに関わらず、「身体に何らかの苦痛又は不快感を引き起こす行為」が体罰だとしています[1b]。

有識者会議は「保護者を罰したり追い込んだりする意図はない」としていて、保護者が子育てで孤立しないように社会全体で支えていけるかが問われることになります。

なお、東京都は2019年4月1日から条例で体罰を禁止していました。

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10年間の「推進計画」がスタート

児童福祉法の改正を受けて、児童相談所を設置する各自治体が「社会的養育推進計画」を策定しました。

この計画に沿って、「社会的養育」を推進する取り組みが2020年度から2029年度にかけて実施されます。
具体的には、里親委託の推進、子どもの権利擁護の取り組み(意見聴取、アドボカシー)、一時保護の改革、児童養護施設・里親等からの自立支援(アフターケア)の充実などが盛り込まれています[2a]。

日本政府が掲げる目標

3歳未満の乳幼児の里親等委託率を
2024年度までに
75%以上にする
就学前の子どもの里親等委託率を
2026年度までに
75%以上にする
学童期以降の子どもの里親等委託率を
2029年度までに
50%以上にする
3歳未満の乳幼児の里親等委託率を、2024年度までに75%以上にする
就学前の子どもの里親等委託率を、2026年度までに75%以上にする
学童期以降の子どもの里親等委託率を、2029年度までに50%以上にする

この他に、里親への支援を強化すること、施設の機能転換を進めること、児童相談所を改革すること、などの目標を掲げています。
出典:厚生労働省[2a]
表作成:社会で子育てドットコム編集部

政府は2029年度までに「里親等委託率」の数値目標を達成したい考えですが、大半の自治体では目標値が国の水準を大きく下回っています[2b]。

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特別養子縁組の対象拡大

民法で定められた特別養子縁組の制度が2020年4月1日から変更されます[3a]。

特別養子縁組は、実の親と暮らせない子どもと養親の間で縁組をする制度です(里親とは異なります)。

従来は子どもの年齢を原則6歳未満(例外的に8歳未満)に制限していましたが、制度が活用しにくくなっていると指摘されていました。
今回の改正で、年齢を原則15歳未満(例外的に17歳未満)に引き上げ、対象を拡大するほか、実親が同意を撤回できる期間が制限されるようになります。

関連記事:特別養子縁組の対象拡大、2020年4月から施行

東京の特別区が児童相談所を開設

東京の江戸川区世田谷区、荒川区が、4月から区立の児童相談所を開設します[4a-4d]。
これにより、子どもの一時保護や里親委託・施設入所などの権限が都から区に移ります(荒川区では7月から)。

児童相談所は、都道府県と政令指定都市には設置の義務がありますが、中核市と特別区は設置するかどうか各自治体が判断することになっています。
特別区による児童相談所の開設はこれが初めてです。

民法、「120年ぶりの大改正」

「社会で子育て」と直接関係することではありませんが、民法が改正され、2020年4月1日から施行されます[5a]。
今回の改正では、明治時代の制定時からほとんど変わっていなかった債権などのルールが見直され、「120年ぶりの大改正」と言われています。

この改正により、保証人の保護が拡充されたり、法定利率が変動制に移行したりといった変化があります。

児童養護施設・里親家庭から子どもが巣立ち、アパートなどを借りる時は、施設長や里親が賃貸契約の保証人になっていることがあり、改正の影響を受けることが予想されます。
また、子どもが施設を出た後などに借金をする際は、法定利率が変更されることに注意する必要があります。

以上、「社会で子育て」を巡る2020年4月からの動きをまとめました。

参考文献

社会で子育てドットコム編集部
社会で子育てドットコム編集部

「社会で子育てドットコム」編集部では、虐待や経済的事情などの理由により親と暮らせない子どもたちを中心に、児童福祉についてニュース紹介や記事の執筆をしています。NPO法人ライツオン・チルドレンが運営しています(寄付はこちらから→ https://lightson-children.com/support/#donation )。