児童虐待の摘発や警察から児相への通告、2019年も過去最多に【3月12日更新】

警察庁は3月12日、2019年の犯罪情勢統計の確定値を公表しました。
それによると、児童虐待の摘発件数は1,957件、虐待の疑いで児童相談所に通告した子どもの数が98,222人だったということです。
NHKニュースなど報道各社が伝えました[2a-2e]。

(【3月12日追記】2月6日公表の暫定値を掲載していましたが、3月12日公表の確定値[1a]に差し替えました。)


Coypright 社会で子育てドットコム編集部

公表された統計は、2019年(平成31年、令和元年)の犯罪件数等を集計したものです。

それによると、全国の警察が摘発した18歳未満の子どもへの虐待事件は1,972件で、前年比592件(42.8%)の増加でした。
虐待の種類別では身体的虐待1,641件、性的虐待246件、心理的虐待50件、育児放棄(ネグレクト)35件でした。

逮捕・書類送検された人は2,024人で、子どもとの関係は実父が913人で最多、次いで実母550人、養父・継父302人、内縁の男187人、その他の男(祖父など)46人などとなっています。

虐待の疑いがあるとして、警察が児童相談所に通告をした18歳未満の子どもの数は98,222人で、前年比17,970人(22.4%)の増加でした。
内訳は、心理的虐待70,721人、身体的虐待18,279人、育児放棄(ネグレクト)8,958人、性的虐待264人でした。

生命の危険があるなどとして警察が緊急で保護した子どもの人数は5,553人で、前年比982人(21.5%)の増加でした。

摘発件数、通告した児童数、保護した児童数のいずれも、統計を取り始めて以降で最多となりました。

警察から児童相談所への虐待通告

出典:警察庁[1a]
グラフ作成:社会で子育てドットコム編集部

なお、厚生労働省がまとめている児童相談所での児童虐待対応件数の統計は、平成30年度(2018年度)に13万件を超えており、こちらもニュースになりました。
平成30年度に児童相談所が対応した虐待通告のうち、50% が警察によるものでした[4]。

今回、合わせて公表されたDVに関する統計[1b]では、配偶者などパートナーからの暴力(ドメスティック・バイオレンス、DV)も相談件数が82,207件、摘発が9,090件で、共に過去最多となりました。
子どもの前でパートナーなどに暴力を振るうことは「面前DV」と呼ばれ、子どもへの心理的虐待にあたります。
面前DVは警察が把握することが多く、警察から児童相談所への面前DVの通告が増えています[1,3a,3b]。

児童虐待の疑いがある事案を見つけたら、警察(110番 主に緊急性の高いもの)と児童相談所全国共通ダイヤル(189番 いち・はや・く)で連絡を受け付けています。

参考文献

社会で子育てドットコム編集部
社会で子育てドットコム編集部

「社会で子育てドットコム」編集部では、虐待や経済的事情などの理由により親と暮らせない子どもたちを中心に、児童福祉についてニュース紹介や記事の執筆をしています。NPO法人ライツオン・チルドレンが運営しています(寄付はこちらから→ https://lightson-children.com/support/#donation )。