特別養子縁組の対象拡大、2020年4月から施行

政府は今日の閣議で、特別養子縁組の対象年齢を原則15歳未満に引き上げる改正民法について、2020年4月1日から施行とする政令を決定したということです。
時事通信共同通信などが伝えました[1a,1b]。

特別養子縁組とは

特別養子縁組は、実の親と暮らせない子どもと養親の間で縁組をする制度で、1988年に導入されました。
縁組を希望する夫婦が家庭裁判所に審判を申し立てて手続きをします。
縁組が成立すると、法律上は子どもと実親の間の親子関係がなくなり、養親と新たな親子関係を結びます。
原則として離縁はできません(永続的解決、パーマネンシーと言います)。

制度を見直すための改正民法が2019年6月に国会で成立し、制度導入以降で初めての見直しが決まりました[2]。

※ちなみに、「里親」は法律上の親子関係を結ばないしくみで、養子縁組とは異なります

2020年4月から変わる特別養子縁組制度

従来のしくみ
見直し後
原則6歳未満、例外8歳未満
原則15歳未満、例外17歳未満
実親が家庭裁判所の審判確定までに同意を撤回すると縁組できない
実親の同意は2週間経過すると撤回できなくなる
養親となる夫婦が家庭裁判所に申し立てをする
実親の他、児童相談所の所長も申し立てできる

出典:法務省「民法等の一部を改正する法律(特別養子関係)について」2019年6月14日付、2019年12月13日閲覧 http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00248.html[2]
表作成:社会で子育てドットコム編集部

対象年齢の引き上げ

従来は子どもの年齢を原則6歳未満(例外的に8歳未満)に制限されていましたが、制度が活用しにくくなっていると指摘されていました。
今回の改正で、年齢を原則15歳未満(例外的に17歳未満)に引き上げ、対象を拡大します。

15歳以上17歳未満の子どもについては、(1)本人の同意がある、(2)15歳未満の時から養父母となる人が養育している、(3)やむを得ない事情で15歳までに申し立てができなかった、という条件を満たせば、特別養子縁組を認めるということです。

縁組の審判確定時点で18歳に達している人は、改正後も特別養子縁組をすることができません。普通養子縁組が選択肢になります。

手続きの2段階化

特別養子縁組の成立には、子どもの実親の同意が必要です。
さらに、「実親による養育が著しく困難又は不適当であること」などを家庭裁判所で審理する必要があります。

従来は、長い審理期間の間に実親が一旦同意していても、審判が確定するまでに同意が撤回されると、縁組ができない仕組みになっていました。

また、審判が出る前に6ヶ月以上の試験養育の期間をとる必要があります。
養親側にとっては、審判の行方が分からないまま試験養育に踏み切るというリスクの高い仕組みになっていました。

問題の解消を図るため、今回の改正により、審判が次の2段階に分けられます。
第1段階:適格性確認(実親による養育状況と、実親の同意の有無などを判断する審判)
第2段階:縁組成立(養親子のマッチングを判断する審判)

実親は第1段階の手続きで縁組に同意した場合、2週間経過した後は撤回ができなくなります。
また、試験養育は第1段階の審判が出た後に行うことになります。

2つの段階を同時に審判することも可能で、手続きの長期化を防ぐとしています。

児童相談所の関与

従来、特別養子縁組の申し立ては養親側が自ら行う必要があり、負担になっていました。
今回の改正で、児童相談所長が第1段階の手続きの申し立てを行ったり、審理に参加して実親の養育状況を立証したりできるようになります。

成立件数と国の数値目標

特別養子縁組の成立件数は、年間300~500件前後で推移してきました。
政府は2017年以降、「概ね5年以内に、現状の約2倍である年間1,000人以上の成立を目指す」という数値目標を掲げています[3a-3c]。

特別養子縁組の年間成立件数の推移

出典:厚生労働省「社会的養護の推進に向けて(平成31年4月)」[3b]
司法統計に基づく。

グラフ作成:社会で子育てドットコム編集部

参考文献

社会で子育てドットコム編集部
社会で子育てドットコム編集部

「社会で子育てドットコム」編集部では、虐待や経済的事情などの理由により親と暮らせない子どもたちを中心に、児童福祉についてニュース紹介や記事の執筆をしています。NPO法人ライツオン・チルドレンが運営しています(寄付はこちらから→ https://lightson-children.com/support/#donation )。