警察から児相への虐待通告、23%増 初めて8万人を突破【3月15日追記】

警察庁は2月7日、平成30年に虐待の疑いで児童相談所に通告した子どもの数が80,104人だったとする統計を発表しました。
【3月14日追記】警察庁は3月12日、平成30年に虐待の疑いで児童相談所に通告した子どもの数が80,252人だったとする確定値を発表しました。
NHKニュースなど報道各社が伝えました。

【以下、2019年3月公表の確定値に基づいて適宜、追記します。】

この統計は、全国の警察が虐待の疑いがあるとして児童相談所に通告をした18歳未満の子どもの数を調べたものです。
それによると、平成30年1月~12月の1年間で 80,104人80,252人(確定値)の子どもについて通告があったということです。
前の年と比べて14,673人 14,821人(確定値)、22% およそ 23% の増加となっていて、8万人を超えるのは統計がある平成16年以降初めてです。

なお、厚生労働省がまとめている児童相談所での児童虐待対応件数の統計は、平成29年度に13万件を超えており、こちらもニュースになりました

警察から児童相談所への虐待通告

心理的虐待の増加が顕著です。心理的虐待の多くが「面前DV」とされています。

出典:
警察庁「平成30年における少年非行、児童虐待及び子供の性被害の状況」平成31年3月[1]【2019年3月15日追記:出典を「警察庁」とすべきところを「厚生労働省」と誤って掲載していました。お詫びして訂正いたします。】
グラフ作成:社会で子育てドットコム編集部

 

また、児童虐待で摘発した件数も過去最多の1,355件だったということです。
また、児童虐待で検挙した事件は1,380件、被害に遭った子どもは1,394人でした。事件数は前年比 242 件の増加、被害に遭った子どもの数は 226 人の増加で、いずれもこれまでで最多だったということです[1]。

心理的虐待に関する通告人数が10年間で23倍以上に増え、通告全体の70%を占めるようになった背景として、「面前DV」が子ども虐待として捉えられるようになったことが挙げられます。
面前DVとは、子どもの見ているところで家族に暴力を振るう(ドメスティック・バイオレンス、DV)ことです。
面前DVが子どもへの心理的虐待にあたることは、平成16年の児童福祉法改正で法律に盛り込まれました。
今回発表された平成30年の統計でも、心理的虐待で警察から児相へ通告したケースの約6割が「面前DV」だったということです[1]。

なお、警察庁が発表した犯罪情勢統計(暫定値)によると、平成30年のDV被害は77,482件(前年比5,027件増)、摘発件数は9,019件で、共に過去最多だったということです。被害者の約8割が女性でした。

児童虐待の疑いがある事案を見つけたら、警察(110番 主に緊急性の高いもの)と児童相談所全国共通ダイヤル(189番 いち・はや・く)で連絡を受け付けています。


画像はイメージ。【2019年3月15日追記:出典を「警察庁」とすべきところを「厚生労働省」と誤って掲載していました。お詫びして訂正いたします。】/ Image by 社会で子育てドットコム編集部

参考文献

  • [1] 警察庁「平成30年における少年非行、児童虐待及び子供の性被害の状況」平成31年3月[1]( リンク )【2019年3月15日追記:「警察庁」とすべきところを「厚生労働省」と誤って掲載していました。お詫びして訂正いたします。】
社会で子育てドットコム編集部
社会で子育てドットコム編集部

「社会で子育てドットコム」編集部では、虐待や経済的事情などの理由により親と暮らせない子どもたちを中心に、児童福祉についてニュース紹介や記事の執筆をしています。NPO法人ライツオン・チルドレンが運営しています(寄付はこちらから→ https://lightson-children.com/support/#donation )。