東京都議会では6月19日、代表質問が行われ、目黒区で5歳の女の子が虐待死した事件に関連した質問が相次ぎました。
小池百合子知事は答弁の中で、都として独自の児童虐待防止条例を制定する考えを示しました。
NHK首都圏ニュース、朝日新聞など報道各社が伝えました。
条例の中で、児童虐待の防止に向けて行政、都民、保護者が果たすべき役割や、情報共有の在り方などを定めるということです。
都は現在、目黒区の事件について、外部の専門家らによる検証作業を進めている最中です。
この検証結果を踏まえ、有識者でつくる検討部会で条例案の内容を検討し、都民の意見も募るということです。
児童虐待防止に関する条例は、大阪府、大阪市、横浜市、埼玉県などで制定されています。
東京都内でも、武蔵野市などで児童虐待と子育て支援に関する条例が制定されています。
ただこれらの条例の中でも、関係機関の連携や情報共有のあり方について必ずしも明記されていないケースがあります。
小池都知事はさらに、庁内を横断した虐待防止のためのプロジェクトチームも立ち上げる方針を示しました。
このプロジェクトチームは21日に初会合を開き、川澄俊文副知事や東京都の福祉保健局、警視庁の幹部などおよそ20人が出席したということです。
NHKニュース首都圏版などが伝えました。
この会合では、児童虐待の防止に向けて都と警察の間の情報共有の範囲について意見が交わされました。
具体的には、保護者が児童相談所の訪問を拒むなどリスクの高いケースは全件で情報共有することを確認するとともに、「身体的虐待」に限られていた情報共有を「心理的虐待」や「ネグレクト」などにも拡大する方針だということです。
このプロジェクトチームは今後、児童虐待を防ぐための新たな対策を検討する一方、上記の条例の制定についても検討することにしています。
なお、19日の都議会代表質問のようすは、都議会のウェブサイトで録画を見ることができます。また6月21日時点で議事録の速報版が公開されています。
社会で子育てドットコム編集部
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