東京都目黒区で5歳の女の子が虐待死した事件が連日報道され、児童相談所(児相)と警察の連携強化の重要性が指摘されています。
こうした中、埼玉県の上田清司知事は6月11日の定例会見で、児相が把握した虐待が疑われる全ての事案で県警と情報共有する方針を示しました。東京新聞などが伝えました。
児相から警察への情報提供については、全国で統一の基準はなく、自治体ごとの判断に委ねられています。埼玉県の場合、児相から警察へ情報提供するのは児童に負傷や著しい発育の遅れが認められる事案などに限られていますが、児相だけでは家庭への立ち入り権限に限界があるなどの課題が指摘されています。
埼玉県が管轄する児童相談所は6か所と1支所(さいたま市が管轄するさいたま市児童相談所は除く)。すべてのケースで氏名や住所、事案の内容などの情報を共有することで、警察がより迅速に対応することを可能にし、深刻な事態への発展を防ぐねらいがあります。
上田知事は会見で「今、県警と調整している。本年度中にもできると思う」と述べたということです。
全件での情報共有は高知県が2008年から、茨城県が2018年1月から、愛知県(名古屋市を除く)が同4月から始めています。一方、目黒区の事件が起きた東京都では、小池百合子知事は8日の記者会見で児相と警視庁の虐待情報の共有範囲を広げる考えを明らかにしていますが、全件共有に踏み切るかどうかは明言を避けています。
また、共同通信が7日付で発表した調査によると、児相を設置する全国の69自治体のうち32自治体は、児童虐待が疑われる事案のうちどの事案を警察に情報提供するかの具体的な基準を設けていないことが分かっています。
【6月21日更新】その後、さいたま市も児相から県警への虐待情報の全件提供を年度内にも開始すると発表しました。20日に清水勇人市長が定例記者会見で明らかにし、読売新聞などが伝えました。また東京都はその後、保護者が児童相談所の訪問を拒むなどリスクの高いケースは全件で警察と情報共有する方針を示しました。
社会で子育てドットコム編集部
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