千葉県、虐待防止対策案を発表――一時保護所の増設など

千葉県野田市で10歳の女の子が虐待死した事件の反省を踏まえて、千葉県は児童虐待防止の緊急対策案をまとめ、5月8日に公表しました。
一時保護所を増設して定員オーバーを解消することなどが盛り込まれています。
NHKニュースなど報道各社が報じました。

対策の骨子は以下の5点です。

  1. 児童相談所職員の虐待事案への対応力向上
  2. 市町村への支援や関係機関との連携強化
  3. 児相の業務体制の強化
  4. 県民への広報・啓発の強化
  5. 要保護児童を受け入れる児童養護施設・里親などの体制の強化

画像は千葉県庁と千葉都市モノレール。/ Photo by Jonte– (public domain)

県によると、県が管轄する6つの児童相談所(児相)の一時保護所では、定員115人に対して今年2月時点で140人が入所していた(入所率120%超)ということです。
県は一時保護所が慢性的に定員オーバーになっているとして、敷地に余裕のある市川、柏、銚子、君津の4児相で一時保護所を増設し、定員オーバー解消を目指します。

また、児童相談所の現在の態勢(2019年4月時点の職員数413人)では、急増する虐待の相談に十分に対応できないとして、職員の増員計画を前倒しし、今後2年間で100人余り増やすことを目指しています。
中でも虐待の相談対応件数が多い中央、市川、柏の3児相については、弁護士の配置を週1日から週2日に増やすほか、警察官・警察OBの配置を1人から2人に増やすということです。

一方、今回の事件で問題とされた関係機関との情報共有の徹底や児童相談所の意思決定のあり方については、具体的な改善策は盛り込まれず、今後検討するとしています。
県は県警との間で児童虐待事案等に関する情報共有の協定を結んでいますが、すべての事案の共有(全件共有)は行われていません。

学校での対応に関しては、担任が児童の見守りやケアに当たる時間を増やせるよう小学校に非常勤講師を派遣すること、難しい虐待事案に対処するためスクールソーシャルワーカーを増員することも盛り込まれています。

さらに、ドメスティック・バイオレンス(DV)対策として、DVに詳しい保健師らを初めて児相に置くことを検討しています。

県は、これらの対策に必要な経費を補正予算案に盛り込み、6月の定例県議会に提出するということです。

社会で子育てドットコム編集部
社会で子育てドットコム編集部

「社会で子育てドットコム」編集部では、虐待や経済的事情などの理由により親と暮らせない子どもたちを中心に、児童福祉についてニュース紹介や記事の執筆をしています。NPO法人ライツオン・チルドレンが運営しています(寄付はこちらから→ https://lightson-children.com/support/#donation )。