児童養護施設での子ども間の暴力、過去5年で2000件――NHKによる調査で明らかに

全国の児童養護施設で子どもの間に起きた暴力が、過去5年間で少なくとも2000件にのぼったことが、NHK独自の調査でわかりました。
NHKニュースが9月5日に伝えました。


画像はイメージ。/ Image by 社会で子育てドットコム.

児童養護施設は、虐待や経済的事情などで親と一緒に暮らせない子どもが入所して生活する施設で、自治体から委託を受けた社会福祉法人などが運営しています。平成29年度末時点で全国におよそ600か所あり、2万6千人あまりの子どもが生活しています[1]。

今回、NHKは児童相談所を設置している69の自治体(都道府県・政令指定都市と金沢市、横須賀市)にアンケート調査を実施し、2018年7月までに59自治体(86%)から回答を得たということです。

それによると、児童養護施設で暮らす子どもの間で暴力が起き、施設が自治体側に報告した事例が、2013年度から2017年度までの5年間に少なくとも2040件にのぼったということです。
暴力の内容は、性的な行為を強要するなどの「性暴力」が961件(47%)で最多となり、次いで殴る蹴るなどの「身体的な暴力」が831件(41%)、無視や暴言などの「心理的な暴力」が248件(12%)となっています。

NHKニュースは、「児童養護施設で起きた子どもの間の暴力について、全国的な実態が明らかになったのは今回が初めて」とし、「暴力を振るった子どもに話を聞くと、親などから暴力を受けた過去が明らかになるケースが多い」とする児童精神科医のコメントを紹介しています。

厚生労働省が平成25年2月時点で取りまとめた児童養護施設の子どもに関する調査では、児童養護施設で暮らす子どもの6割に虐待を受けた経験があるとされています[1]。

これまでに判明していた情報

児童養護施設で起きる子どもの間の暴力については、三重県の児童養護施設で起きた性暴力をめぐって被害児の母親が市民団体「みえ施設内暴力と性暴力をなくす会」を立ち上げ、裁判や情報公開請求などを通じて、三重県内の児童養護施設などにおける子ども間の暴力の実態が明らかになりました。
それによると、児童養護施設などの児童福祉施設における子ども間の性暴力が、2008年度から2016年度の9年間に合わせて111件あったということです。三重県内の児童福祉施設では600人超の子どもが生活していて、2008年度から2016年度の性被害に関わっていたのは被害者、加害者を合わせて274人でした。

また、朝日新聞の情報開示請求に対して東京都が開示した情報によると、都が報告を受けた子ども間の性的事故は、2015年度に63件、2016年度に74件、2017年度は12月までに60件あったということです。

厚生労働省の動き

こうした指摘を受けて、厚生労働省は2018年度中にも、児童養護施設などで起こる子ども間の暴力について全国レベルの実態調査に乗り出す方針であると伝えられています

また、厚生労働省は4月27日付で、児童相談所を設置する69の自治体に対し、児童養護施設などの児童福祉施設内で性暴力を受けるなどして悩んでいる子どものために、相談先の周知を徹底するよう求める通知を出しています。
具体的には、施設内に自治体や第三者委員の相談窓口の電話番号を掲示したり、意見箱を設置したりといった対応を求めています。
この通知では、子ども間の性暴力などを放置した場合、施設職員による児童虐待(ネグレクト)にあたると明記しています。

参考文献

  • [1] 厚生労働省「社会的養育の推進に向けて」平成29年12月( リンク

社会で子育てドットコム編集部

「社会で子育てドットコム」編集部では、虐待や経済的事情などの理由により親と暮らせない子どもたちを中心に、児童福祉についてニュース紹介や記事の執筆をしています。NPO法人ライツオン・チルドレンが運営しています(寄付はこちらから→ https://lightson-children.com/support/#donation )。