今回は、職場で気軽に参加できる社会貢献活動として、ドイツ銀行グループ様の例を紹介します。
(ドイツ銀行グループ様は、「社会で子育てドットコム」を運営するNPO法人ライツオン・チルドレンをご支援いただいています。記事中は敬称略)
災害用備蓄品をどうするか?
ドイツ銀行グループは、長年にわたって社員の方が都内の児童養護施設を訪問して子ども達と交流するなど、多くの社会貢献活動を行ってきました。
今回は災害用備蓄品の定期入れ替えに伴い、未使用または使用期限のないアルミブランケットや生理用品、ボックスティッシュなどを外部に寄贈することを検討しました。
そこで、ライツオン・チルドレンがニーズの聞き取りと寄贈先の選定にあたり、下記の児童福祉施設に寄贈することを提案し、ドイツ銀行グループも賛成しました。
- 虐待や貧困など様々な事情により家庭で暮らせない子ども(概ね2歳から18歳)が暮らす「児童養護施設」
- DVやその他の事情でサポートが必要な母子世帯が入居している「母子生活支援施設」
- 家庭にいることができない子どもなどが、義務教育修了から20歳程度まで入所して、自立の準備を整える「自立援助ホーム」
また、ライツオン・チルドレンは各施設に事前にヒアリングを行い、今回寄贈できる品目の中から、必要としている物を必要な数だけ選んで頂きました。そうする事により、双方にとっての無駄を省く事ができました。
社内でボランティア
さて、寄贈品を送り先ごとに仕分けして梱包する作業には人手が必要です。
そこで、ドイツ銀行グループ社内でボランティアを募ったところ、すぐに20名以上の方から参加の申し出がありました。
当日は備蓄品を会議室に集めておき、ボランティアの皆さんで仕分け・梱包にあたりました。
かなりの数の物品がありましたが、たくさんの社員の方が参加され、テキパキと作業が進んでいきました。
実は、当日は梱包ボランティアに先立って、同じ会議室で母子生活支援施設の施設長によるミニセミナーも行われました。
母子生活支援施設に入居されている方々の実情や、施設として向き合っている課題、災害への備えについて説明があり、社員の方々は熱心に耳を傾けていました。
ボランティアの方からは、「作業の前に、施設のことや子どもたちのことを説明していただけたので、備蓄品やボランティアがどのように役立つのかがよりイメージしやすくなった」という声が上がっていました。
ミニセミナーと梱包ボランティアは合わせて45分ほどで終了し、寄贈品は次の日に無事に各施設に発送されていきました。
皆さまの声
今回のボランティアに参加されたある社員の方は、「社会問題に関心はあるけれど、共働きで小さい子どもがいるので、休みの日に出かけてボランティア活動をするのは難しい。平日の日中に職場でボランティア活動の機会があって良かった」と話していました。
寄贈品を受け取った施設からは、「母子生活支援施設に入居する母子世帯の多くは家計に余裕がなく、防災は後回しになりがちです。今回の寄贈品を配って、震災に備えるよう伝えました」とか、「必要な防災グッズを揃えるだけの財源がないため、今回のようなご寄贈は大変ありがたい」といった声が届きました。
必要としている人に、必要な物を、必要な数だけ届ける。
そして、福祉の現場の声に触れる機会を作る。
社会貢献活動は職場でもできる、ということに気付かされる事例でした。
社会で子育てドットコム編集部
「社会で子育てドットコム」編集部では、虐待や経済的事情などの理由により親と暮らせない子どもたちを中心に、児童福祉についてニュース紹介や記事の執筆をしています。NPO法人ライツオン・チルドレンが運営しています(寄付はこちらから→ https://lightson-children.com/support/#donation )。
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