私が理事長を務めるNPO法人(特定非営利活動法人)ライツオン・チルドレンは、「社会からの支援が必要な子どもたちを多くの人たちと一緒に支えたい」との思いで立ち上げた法人です。
ライツオン・チルドレンは、児童養護施設などで暮らす子どもたちにパソコンと講習会をセットで贈る事業などに取り組むとともに、より多くの人々に社会の支援が必要な子ども達の実態を知ってほしいとの思いで、企業向けのセミナーも行っています。
この企業向けセミナーは「企業内・社員向け啓発セミナー」と名付けており、会社のお昼休みなどの時間を利用して職場の会議室に集まって頂き、「社会的養護について」「皆さまにお願いしたいご支援」の2点についてご説明しています。
養育者の経済状態や健康状態に関わらず、すべての子どもに適切な養育環境を提供したい。そして、この問題に当事者意識を持って頂き、支援して下さる人を増やしたい。
そうした私たちの願いが、セミナーを通じて皆さまに少しでも伝わっていたら幸いだと思っております。
一方で、セミナー後にお願いしているアンケートの回答を見ると、「動機付けのきっかけとしては良いが、具体的にどうしてよいかわからない」「実際に施設に電話をするのはハードルが高い」「どのように支援の申し出をしたらいいのかわからない」という声が多数ありました。
時間の制約もあり、このセミナーでお伝えできているのはあくまで「多くの児童養護施設に共通の一般論」です。
施設毎に異なるニーズもありますが、現状では、いつ、どこで、どのような支援が必要なのかをワンストップで集約している窓口がありません。
セミナーを通して支援の必要性を実感し、実際に行動を起こしたいと思っても、それぞれが児童養護施設に問い合わせていただくしか方法がありません。
(※会社としてライツオン・チルドレンの活動をご支援いただいている場合は、社員の方にボランティアとしてご参加いただくことが可能です。)
NPO法人ライツオン・チルドレンが期待されていること
アンケートの質問:「『企業内社員向け啓発セミナー』の内容を踏まえて、NPO法人ライツオン・チルドレンに今後期待することは何ですか?(複数回答可)」
回答者=7企業から102人(任意回答・無記名)、調査期間=2016年7月~2018年6月
このような声を受けて、NPO法人ライツオン・チルドレンでは「社会で子育てドットコム」という情報サイトを立ち上げることにいたしました。
このサイトでは、児童養護施設や里親などが抱える具体的な支援ニーズを集約・発信していくことを目指しています。
同時に、この分野に関連する時事ニュースを取り上げたり、独自のコラムを書いたりしていきます。
この分野で個人にできることの中で、最もハードルの高いものは「里親になる」ことだと思います。
里親のなり手を増やしていくことはとても大切なことですが、一方で、もっとハードルの低い関わり方として「まずは児童養護施設・里親制度を知って頂くこと」があります。
こうしたポイントを「社会で子育てドットコム」を通して読者の皆さまにお伝えしていければと思っております。
児童養護施設・里親などが抱える支援のニーズと、企業・個人が持つリソースがうまく結びついて、子どもたちを社会全体で支えられるようになることを心から願っています。
立神 由美子
NPO法人ライツオン・チルドレン(https://lightson-children.com)の設立者・理事長。東京の児童養護施設で広報を担当。(2018年4月1日現在)
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