「社会全体で虐待防止」「保護者による体罰禁止」「都民の責務」――都の虐待防止条例の骨子案
- 2018年12月04日
- 社会で子育てドットコム編集部
東京都は2018年11月30日、虐待防止条例の骨子案を公表し、都民の意見を12月29日まで受け付けています。全国の都道府県で初めて、保護者による体罰の禁止を盛り込んでいます。
NHKニュースなど報道各社が伝えました。
都は、2018年3月に目黒区で5歳の女の子が虐待死した事件を受けて、虐待防止条例の検討を進めており、今回「子供への虐待の防止等に関する条例(仮称)」の骨子案を公表しました。
今回示された案は、以下の基本理念に沿って、関係機関や都民などの果たすべき役割などについて定める内容となっています。
- 「虐待は、子供への重大な権利侵害であり、心身の健やかな成長を阻害するとの認識の下、社会全体で防止」
- 「虐待の防止に当たっては、子供の成長、年齢等に応じた意見を尊重するとともに、子供の安全及び安心並びに最善の利益を最優先」
都や関係機関の役割
骨子案では、都の責務として、虐待の防止のために必要な体制を整備すること、子ども虐待に関する広報・普及活動を実施することなどが記されています。
また、虐待を受けた子どもの受け皿確保のために都が果たすべき役割として、里親等への委託を推進すること、乳児院・児童養護施設などの施設・事業を充実させることなどを挙げています。
児童相談所(児相)については、虐待通告を受けたときは速やかに子どもの安全確認を行うこと、一時保護・立入調査などの権限は速やかに行使することが盛り込まれています。
また、関係機関で適切に連携・情報共有を行い、虐待の未然防止・早期発見、適切な調査を行うこととされています。
保護者の責務
保護者については、子どもの「養育に係る一義的な責任を負っている」とし、「体罰その他の品位を傷つける形態による罰」を子どもに与えてはならないとしています。
都の資料によると、体罰や暴言は恐怖により子どもをコントロールしているだけで、子どもは意味を理解できていないことがあり、さらに子どもの脳の発達に深刻な影響を及ぼすとも言われているとして、「体罰等によらない子育てを推進」していくとしています。
保護者による体罰を条例で禁止するのは、施行されれば全国の都道府県で初めてになるということです。
一方で、虐待を行った保護者に対しては罰則規定はなく、児相や関係機関が連携して指導・支援し、子どもの成長に好ましい家庭環境を形成し適切な親子関係を構築できるようにするとされています。
都民の責務
都民(在勤・在学の人を含む)には、児童相談所長などが行う子どもの安全確認や都・区市町村が実施する虐待防止策などに協力することを求めています。
また、虐待を受けた子どもが「地域社会において等しく愛護され、円滑に社会的自立ができるよう」、都民は理解に努めるとされています。
これに関連して、近年、児童養護施設の移転や児童相談所の開設などに対して地域で反対運動が起こるケースがあり、虐待を受けた子どもなどへの偏見や誤解が問題となっています。
都は、今回の条例骨子案への意見を、2018年12月29日まで郵便、ファックス、メールで受け付けるということです。
社会で子育てドットコム編集部
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